ウルザの物語:ファイレクシアとの千年戦争と多元宇宙を救う遺産
ウルザ・プラウェルの軌跡:ファイレクシアとの終わりのない戦い
マジック:ザ・ギャザリングの広大な物語世界において、ウルザ・プラウェルは最も重要で、その影響が長く続いているプレインズウォーカーの一人です。彼の生涯は、機械と肉の恐るべき混合体であるファイレクシアとの千年以上にわたる壮絶な戦争そのものであり、その結果は多元宇宙全体の運命を左右しました。この記事では、ウルザの誕生から灯の点火、ファイレクシアへの復讐、そして多元宇宙を救うために遺した「レガシー」に至るまでの、彼の波乱に満ちた軌跡を追います。
ドミナリアでの誕生と兄弟戦争
ウルザは、古代のドミナリアにおいて、戦略家である兄弟のミシュラと共に生まれました。兄弟は共にアーティファクトに並外れた才能を示しましたが、後に偶然発見した強力な2つの石(マイストーンとウィーアストーン)を巡る争いから、激しい対立へと発展します。この対立は、ドミナリアの広大な地域、特にアルゴスを舞台にした壊滅的な戦争、兄弟戦争(マジックの歴史における非常に重要な出来事であり、『アンティキティーズ』や『ザ・ダーク』、『フォールン・エンパイア』といった初期のセットや、後に『兄弟戦争』セットで描かれました)を引き起こしました。戦争の終結は、兄弟の戦いの余波による大爆発でした。この出来事によりミシュラは死亡し、ウルザは致命的な傷を負いましたが、同時に彼の内に秘められていたプレインズウォーカーの灯が点火し、彼は次元を超えた存在となりました。この出来事は、約4,500年前に発生したとされています。
プレインズウォーカーとしての覚醒とファイレクシアの脅威
灯が点火したウルザは、自身の故郷ドミナリアがファイレクシアの工作員によって陰から操られていたことを知ります。特に、ミシュラがファイレクシアの機械父祖ヨーグモスに堕落させられていたという事実は、ウルザに深い憎悪と復讐心を植え付けました。彼はプレインズウォーカーとしての新たな能力を用いて多元宇宙を旅し、ファイレクシアの真の恐ろしさとその次元を超える侵略の野心を知ることになります。彼の目的はただ一つ、ファイレクシア、そしてヨーグモスを完全に破壊することとなりました。この旅は、後に『ウルザズ・サーガ』、『ウルザズ・レガシー』、『ウルザズ・デスティニー』といったウルザズ・サーガブロックで描かれています。
レガシーの創造とヨーグモスへの抵抗
ファイレクシアの強大な力に対抗するため、ウルザは千年もの時間をかけて壮大な計画を実行に移します。それが、ファイレクシアを打ち倒すために必要な要素を結集させた「レガシー」と呼ばれる壮大な計画です。この計画には、様々なアーティファクト、生物、そして個人の育成が含まれていました。最も重要な要素の一つが、ウルザ自身が創造したアーティファクト・クリーチャーであり、後にプレインズウォーカーとなるカーンでした。また、次元を旅する飛翔艦ウェザーライト号とそのクルー(ジェラード、シッセイなど)もレガシーの中核を成す存在でした。ウルザは彼らを鍛え、ファイレクシアの侵略に備えさせました。このレガシーの物語は、『ウェザーライト』から始まり、『テンペスト』、『ストロングホールド』、『エクソダス』、『マスクス』ブロック、『プロフェシー』、そして『インベイジョン』ブロックへと続きます。
ファイレクシア侵攻とウルザの最期
千年以上の時を経て、ついに機械父祖ヨーグモスはドミナリアへの直接侵攻を開始します。これは「ファイレクシア侵攻」として知られる多元宇宙史上最大の危機の一つです(『インベイジョン』ブロックでクライマックスを迎えます)。ドミナリアを主戦場とし、多元宇宙中のプレインズウォーカーや英雄たちがファイレクシアと対峙しました。ウルザは、憎き敵ヨーグモスとの最終決戦に臨みます。彼はレガシーの最終兵器、特にカーンを中心とした計画を始動させます。最終的に、ウルザは自身の命と引き換えに、レガシーの力を解放し、ヨーグモスをドミナリアから、そして多元宇宙から退けることに貢献しました。彼の頭部は、最後のレガシーの起動に必要な要素として使用され、その壮絶な生涯は終焉を迎えました。
ウルザの遺産とその後の影響
ウルザ・プラウェルは肉体こそ滅びましたが、彼が千年をかけて築き上げたレガシーは、その後もMTG世界の物語に多大な影響を与え続けました。彼の創造したカーンは、ファイレクシアの残骸から生まれた次元ミラディン(後に新ファイレクシアとなる)の創造主となり、時間旅行の鍵を握る存在となります。ウェザーライト号のクルーやレガシーの他の要素も、ドミナリアの復興やその後の危機(時のらせんなど)において重要な役割を果たしました。ウルザのファイレクシアへの徹底抗戦の精神と、そのために犠牲を厭わなかった姿勢は、後の世代のプレインズウォーカーや英雄たちにも引き継がれていきます。彼の物語は、個人の復讐心がいかに多元宇宙規模の危機に繋がり、そしていかに希望へと転換されうるかを示す壮大な叙事詩として、今なお語り継がれています。