ティボルトの軌跡:多元宇宙を騒がせる悪党プレインズウォーカーの暗躍
はじめに:苦痛を司る悪党プレインズウォーカー、ティボルト
マジック:ザ・ギャザリング(MTG)の広大な多元宇宙には、様々な目的や能力を持つプレインズウォーカーが存在します。その中でも特に異彩を放つ存在が、悪党プレインズウォーカーとして知られるティボルトです。苦痛を与えることに喜びを感じる彼の軌跡は、関わる次元に混乱と悲鳴をもたらしてきました。この記事では、彼の起源から最近の動向に至るまで、ティボルトの物語を時系列に沿って追いかけ、彼の行動がMTG世界に与えた影響を解説します。
邪悪なる灯の点火:シャドウムーアでの残虐行為
ティボルトの灯が点火したのは、ローウィン次元がその暗黒面であるシャドウムーアへと変容した時期でした。元々は拷問を趣味とする陰惨な男であった彼は、法の執行者によって逮捕され、激しい苦痛を与えられます。その絶望的な状況の中で、彼のプレインズウォーカーの灯が点火し、彼は拷問の拷問者へと変貌を遂げました。シャドウムーアの陰鬱な環境は、彼の邪悪な性質をさらに助長させます。彼はこの次元の住人たちに苦痛を与えることを楽しみ、その能力を高めていきました。初期のティボルトは、彼の残虐な能力を駆使して、個人的な愉悦のために次元を渡り歩き、無辜の存在を苦しめました。この時期の彼は、まだ大きな計画を持つというよりは、衝動的な悪意に基づいて行動していたと言えます。
ロクサス計画:カルドハイムでの暗躍
ティボルトがMTGの主要な物語において重要な役割を果たしたのは、氷雪次元カルドハイムの出来事でした。彼は悪魔プレインズウォーカーであるヴォーロと共謀し、神々の牢獄に囚われていた悪魔、ロクサスを解放する計画を実行します。ティボルトはカルドハイムの様々な領域に混乱と苦痛を撒き散らし、ヴォーロの計画の露払いを務めました。彼は特にアスモルディカーンという別の悪魔と協力し、アスモルディカーンの力を利用してロクサスを解放するための儀式を進めます。
この計画の目的は、ロクサスを解放することでカルドハイムのバランスを崩し、ヴォーロが次元を支配するための隙を作ることにありました。ティボルトは得意の欺瞞と苦痛を操る能力で、カルドハイムの住人やそこに居合わせたプレインズウォーカーたち(特にキオーラやテフェリー)を翻弄しました。しかし、最終的にはヴォーロもろともロクサスは再び封印され、ティボルトのカルドハイムでの暗躍は阻止されます。この出来事は、ティボルトが単なる個人的な悪意だけでなく、より大規模な悪の計画に関与する存在へと変化しつつあることを示唆しました。
潜伏と関与:多元宇宙におけるその後の影
カルドハイムでの計画失敗後、ティボルトはしばらく大規模な物語の表舞台からは姿を消します。しかし、彼の存在は多元宇宙のどこかで暗躍を続けていることが示唆されていました。彼はファイレクシアの脅威が多元宇宙に広がる中で、直接的に完成化されることはありませんでしたが、その混乱の中で自身の目的を追求していた可能性があります。
彼の具体的な行動が再び明確になったのは、「機械兵団の進軍」後の多元宇宙の変革期です。完成化されたプレインズウォーカーたちとの戦いが終結し、プレインズウォーカーの灯の性質が変化した後の世界で、ティボルトのような悪党プレインズウォーカーがどのような立ち位置につくのかは注目すべき点です。灯争大戦のような多元宇宙規模の危機において、彼はボーラス側につくこともなく、またゲートウォッチ側につくこともなく、自身の目的や快楽のために行動していました。
結び:苦痛の連鎖は続く
ティボルトは、MTGの物語において、特定のイデオロギーや組織に忠誠を誓うのではなく、専ら自身の邪悪な性質と苦痛への愛に基づいて行動する異質なプレインズウォーカーです。シャドウムーアで灯を点火し、カルドハイムでヴォーロの計画に関与するなど、彼の軌跡は関わる次元に混乱と悲鳴をもたらしてきました。
彼の物語はまだ終わっていません。多元宇宙が「機械兵団の進軍」を経て新たな時代へと移行する中で、ティボルトのような独立した悪意を持つプレインズウォーカーがどのように振る舞うのかは、今後のストーリーにおいて重要な要素となるでしょう。彼の次なる暗躍がどの次元で、どのような苦痛をもたらすのか、プレインズウォーカー年代記は引き続きその軌跡を追っていきます。