プレインズウォーカー年代記

テフェリーの軌跡:時間魔道士の能力と大いなる修復後の変化

Tags: テフェリー, プレインズウォーカー, ドミナリア, 大いなる修復, 時間魔道士, 機械兵団の進軍

時間魔道士テフェリーの長い道のり

テフェリーはマジック:ザ・ギャザリングの物語において、特にドミナリアという次元と深い関わりを持つ古のプレインズウォーカーです。彼は時間そのものを操る特異な能力を持つ時間魔道士として知られ、その長い生の中で数々の重要な出来事に関与してきました。この記事では、テフェリーが歩んできた道のり、彼の能力、そして多元宇宙に大きな変革をもたらした「大いなる修復」を経て彼に起こった変化に焦点を当て、その軌跡をたどります。

初期とドミナリアの危機

テフェリーはドミナリアのゾサ地区、ジャムーラ出身であり、ウルザの弟子として兄弟戦争後の復興期に頭角を現しました。彼は自らの研究拠点であるテフェリー島を持ち、時間魔道士としての研究を深めていました。

彼の物語が本格的に描かれるのは、ドミナリアに次元の亀裂が発生し、多元宇宙全体が危機に瀕した「時のらせん」ブロックの時代です。テフェリーはゾサ地区に出現した大規模な亀裂の修復に尽力し、その過程で自らの知識と時間操作能力を駆使しました。彼はゾサ地区を時間から切り離すという大胆な手段を取りましたが、これは一時的な解決に過ぎませんでした。

亀裂の拡大はドミナリア全土、そして多元宇宙に影響を及ぼし、現実そのものが歪み始めます。テフェリーは他のプレインズウォーカーたちと協力し、次元の亀裂を完全に修復するための方法を探求しました。この危機を描いたセットには、『時のらせん』、『次元の混乱』、『未来予知』などがあります。

大いなる修復と灯の喪失

ドミナリアに発生した次元の亀裂を完全に閉じるためには、次元自体のマナが必要でした。この未曽有の危機に対して、多くのプレインズウォーカーが協力しましたが、最終的にドミナリアの亀裂を修復し、「大いなる修復(The Great Mending)」と呼ばれる次元構造の安定化を引き起こした最大の要因の一つが、テフェリーの犠牲でした。

テフェリーは自らのプレインズウォーカーの灯の大部分(あるいは全て)と、彼が作り出したテフェリー島を亀裂に捧げ、ゾサの亀裂を閉じました。この行為により、テフェリーはプレインズウォーカーとしての能力と不死性を失い、ドミナリアで限りある命を持つ人間として生きることになります。これは、プレインズウォーカーの灯が「大いなる修復」を経て、その性質が大きく変化する出来事の象徴的な一例となりました。修復後の新しい多元宇宙では、プレインズウォーカーは以前のような半神的な存在ではなく、より普通の魔法使いに近い存在へと変化しました。

灯を失ったテフェリーは、ドミナリアで家族を持ち、時間を超えて生きるのではなく、時の流れの中で生きるという新たな生活を送りました。彼は時間魔道士としての知識は保持していましたが、多元宇宙を旅する力は失われていました。

再覚醒と機械兵団の進軍

長い時を経て、ドミナリアが再びファイレクシアの脅威に晒される中で、テフェリーは再び物語の中心に引き戻されます。『ドミナリアの団結』セットでは、彼はファイレクシアの侵攻に対抗するため、時間の力を研究し直す姿が描かれました。そして、予期せぬ出来事の中で、テフェリーは再びプレインズウォーカーとして覚醒しました。これは、「大いなる修復」で灯を失ったプレインズウォーカーが再び灯に火を灯すという非常に珍しいケースであり、彼の能力や物語が再び多元宇宙規模で展開されることになります。

プレインズウォーカーとして復帰したテフェリーは、『機械兵団の進軍』において、新ファイレクシアによる多元宇宙への侵攻に対抗する主要な人物の一人となります。彼は時間操作能力を駆使してファイレクシア軍を妨害しようと試みますが、新しいファイレクシアの強大さと、時間の力の限界に直面します。この戦いの中で、テフェリーは個人的な悲劇にも見舞われ、その精神に深い傷を負いました。

結び

テフェリーの物語は、MTG世界の複雑な時間構造と、プレインズウォーカーの存在意義の変遷を理解する上で極めて重要です。時間魔道士としての彼の能力は、ドミナリアの危機を乗り越える鍵となり、彼の自己犠牲は大いなる修復という歴史的な出来事を引き起こしました。一度灯を失いながらも再びプレインズウォーカーとなった彼は、新たな多元宇宙における時間操作能力の可能性と限界、そしてファイレクシアという抗いがたい脅威に直面しました。彼の軌跡は、時の流れと共に変化し続けるMTG世界の物語の深さを示しています。