プレインズウォーカー年代記

次元を超えた誓い:ゲートウォッチ結成とその目的

Tags: ゲートウォッチ, プレインズウォーカー, ゼンディカー, エルドラージ, 組織

次元を超えた誓い:ゲートウォッチ結成とその目的

マジック:ザ・ギャザリング(MTG)の物語において、複数のプレインズウォーカーが特定の目的のために協力関係を結ぶことは珍しくありませんが、その中でも特に大きな影響力を持った組織が「ゲートウォッチ」です。この組織は、多元宇宙全体を脅かす危機に対処するため、複数の主要なプレインズウォーカーが共同の誓いを立てることで結成されました。

結成の背景:ゼンディカーのエルドラージ危機

ゲートウォッチが結成されたのは、ゼンディカー次元がエルドラージのタイタンたちによって壊滅的な状況に陥っていた時期です。長らく封印されていたエルドラージのタイタン、ウラモグとコジレックが解放され、ゼンディカーの生命力やマナを貪り尽くし、次元は崩壊の危機に瀕していました。

この未曽有の脅威に対し、たまたま、あるいはエルドラージとの因縁からゼンディカーに集結していた数名のプレインズウォーカーたちがいました。記憶を失っていたジェイス・ベレレン、炎のチャンドラ・ナラー、植物のニッサ・レヴェイン、法の履行者ギデオン・ジュラです。彼らは個々にエルドラージの脅威と戦っていましたが、その圧倒的な力の前に個人の力では限界があることを痛感します。

共同の誓いとゲートウォッチの誕生

プレインズウォーカーたちは、単なる次元を超えた旅人としてではなく、多元宇宙全体に責任を持つ存在として、エルドラージのような大規模な脅威に立ち向かう必要性を認識しました。ゼンディカーでのエルドラージ討伐作戦の最中、彼らは共に戦うことを誓い合います。この誓いは、特定の次元だけでなく、多元宇宙のどこであっても、必要とあらば駆けつけ、力を持つ者がそうでない者を守るという、次元を超えた大きな責任を伴うものでした。

この共同の誓い、すなわち「ゲートウォッチの誓い」(Oath of the Gatewatch)こそが、組織「ゲートウォッチ」の誕生を象徴しています。初期メンバーはジェイス、チャンドラ、ニッサ、ギデオンの4名でした。後に、デーモンとの契約から解放されたリリアナ・ヴェスも一時的に参加し、初期の主要メンバーは通称「ジェイス、チャンドラ、ギデオン、ニッサ、リリアナ(通称:Jace, Chandra, Gideon, Nissa, Liliana)」、略して「JCGNL」と呼ばれることもありました。この出来事は、マジックのセット『ゲートウォッチの誓い』(Oath of the Gatewatch)で描かれました。

目的と初期の活動

ゲートウォッチの主な目的は、多元宇宙規模の脅威から次元を保護することでした。ゼンディカーでのエルドラージ討伐がその最初の活動であり、彼らは協力してウラモグとコジレックを打ち倒すことに成功します。

その後、彼らは次の脅威へと転移しました。エルドラージのタイタン、エムラクールによって歪められつつあったイニストラード次元への介入(『イニストラードを覆う影』ブロック)。エルドラージとは異なる機械生命体、ファイレクシアの脅威が迫る中、過去の出来事を知るカーンを訪ねての調査。そして、ニコル・ボーラスによる陰謀への対抗など、彼らは多元宇宙の様々な危機に関与していきます。

影響とその後の軌跡

ゲートウォッチの結成は、MTGの物語において重要な転換点となりました。個々のプレインズウォーカーの物語が、より組織的な、多元宇宙全体に関わる大きな弧を描くことにつながりました。彼らの行動は、その後のファイレクシアの再興や、ニコル・ボーラスとの最終決戦である「灯争大戦」へと直接的に繋がっていきます。

しかし、ゲートウォッチの道程は平坦ではありませんでした。目的の違いや意見の衝突、個人的な事情などから、メンバーの離脱や組織の機能不全も経験します。特に「灯争大戦」におけるギデオンの自己犠牲や、リリアナの離脱などは、組織に大きな変化をもたらしました。

ゲートウォッチは、その結成から解体に至るまで、MTG世界の多元宇宙における脅威と、それに対峙するプレインズウォーカーたちの戦いを象徴する存在でした。彼らが立てた「次元を超えて助けが必要な次元を救援する」という誓いは、その後の物語にも影響を与え続けています。