プレインズウォーカー年代記

ジェイス・ベレレンとヴラスカの関係性の軌跡:イクサランでの出会いから共闘、そしてファイレクシア化へ

Tags: ジェイス・ベレレン, ヴラスカ, 関係性, イクサラン, ファイレクシア, 物語, プレインズウォーカー

はじめに:対照的なプレインズウォーカーの出会い

ジェイス・ベレレンはギルドパクトの請負人であり、多元宇宙の均衡を守るゲートウォッチの創設メンバーです。一方、ヴラスカは冷酷なゴルゴンであり、ニコル・ボーラスの忠実な手先として暗躍してきました。本来であれば交わることのなかったであろうこの二人のプレインズウォーカーの運命が、次元イクサランで決定的に交錯し、物語は予期せぬ方向へと進んでいきます。本記事では、イクサランでの出会いを起点とし、共闘、そして悲劇的なファイレクシア化へと至るジェイスとヴラスカの関係性の変遷とその物語上の位置づけについて解説します。

イクサランでの予期せぬ邂逅

二人の関係性の始まりは、次元イクサランでの出来事に遡ります。ニコル・ボーラスの策略により記憶を失い、イクサランに不時着したジェイスは、ジャングルの中を彷徨っていました。同時期、ボーラスの命令でイクサランの至宝「太陽の黄金の胴衣」を探索していたヴラスカと出会います。当初、ヴラスカは記憶を失ったジェイスを利用しようとしますが、宝探しを共にするうちに、ジェイスの純粋さや本来の優しさに触れ、互いに惹かれ合っていきます。記憶を取り戻したジェイスは、自身の過去とヴラスカがボーラスと契約している事実を知り葛藤しますが、ヴラスカへの想いを捨てることはできませんでした。このイクサランでの経験は、二人の間に複雑ながらも強い絆を育んだ重要な転換点となりました。関連するセットとして『イクサラン』、『イクサランの相克』が挙げられます。

灯争大戦での共闘とボーラス打倒後

ラヴニカを舞台とした灯争大戦では、ヴラスカはニコル・ボーラスの軍勢の一員として、ジェイスを含むゲートウォッチやラヴニカの住人と対峙します。しかし、大戦の終盤、ヴラスカはボーラスの真の目的(プレインズウォーカーの灯の強奪)を知り、彼に反旗を翻します。ジェイスもヴラスカを完全に敵とは見なさず、互いを気遣う描写が見られました。最終的に、ヴラスカはニコル・ボーラス打倒に貢献し、ボーラスの支配から解放されます。大戦終結後、ヴラスカはラヴニカで自身のギルドであるゴルガリ団のギルドマスターとしての責任を果たす道を選びます。一方、ジェイスはゲートウォッチとしての活動を続けますが、二人の間には引き続き特別な関係が保たれていました。関連するセットは『ラヴニカの献身』、『灯争大戦』です。

新たな潜伏先とファイレクシアの影

灯争大戦後、二人は一時的にラヴニカを離れ、共に未知の次元で隠れて過ごした時期があったとされています。その後、彼らは次元ニューカペナに姿を現します。ヴラスカはグリフィンクリーチャー「バートレッティ」を伴い、街を牛耳る五大ファミリーの一つ、アトラジン家に協力していました。ジェイスもまたニューカペナに潜伏し、二人は街の暗部で活動します。この時期の彼らの目的は、恐らくボーラスがいなくなった多元宇宙で、二人が共に平穏に過ごせる場所を確保することだったと考えられます。しかし、この水面下での活動中、ヴラスカは密かにファイレクシアの工作員「永遠衆」によって完成化のプロセスにかけられていたことが後に判明します。関連セットは『ニューカペナの街角』です。

完成化の悲劇と機械兵団の進軍

ヴラスカの完成化が進行する中、彼女はドミナリアへと向かい、ジェイスも後を追います。そして次元ドミナリアの危機において、ついにヴラスカはファイレクシアの完全な尖兵として現れます。さらに衝撃的なことに、ジェイスもまた、ヴラスカを通じて完成化されてしまい、新ファイレクシアの幹部として多元宇宙侵攻である「機械兵団の進軍」に加わることになります。かつて多元宇宙を救った英雄であるジェイスと、ボーラスの支配から解放されたヴラスカが、最悪の敵であるファイレクシアの手に落ちるという展開は、多くの読者に衝撃を与えました。二人は新ファイレクシアの指導者、エリシュ・ノーンのもと、多元宇宙に戦禍を広げる尖兵となります。関連セットは『ドミナリア・ユナイテッド』、『機械兵団の進軍』です。

その後の展開と結び

「機械兵団の進軍」は終結し、新ファイレクシアの脅威は去りました。しかし、ジェイスとヴラスカの物語はまだ終わりを迎えていません。『機械兵団の進軍:決戦のあと』などで示唆されたように、ファイレクシア化された彼らのその後の状況には変化が見られます。二人の関係性は、イクサランでの純粋な出会いから、ボーラスとの契約、共闘、そしてファイレクシア化という極めて劇的な変遷を遂げました。彼らの軌跡は、MTGのストーリーにおける「絆」や「変容」、そして「悲劇」といったテーマを深く掘り下げています。ファイレクシア化からの解放や、二人の未来がどうなるのかは、今後の物語で描かれていくことでしょう。ジェイスとヴラスカの関係性は、MTGの複雑で予測不能なストーリーラインを象徴する、重要な要素の一つと言えるでしょう。