プレインズウォーカー年代記

ジェイス・ベレレンのイクサランでの記憶喪失:その経緯とヴラスカとの関係、その後の影響

Tags: ジェイス・ベレレン, イクサラン, ヴラスカ, 記憶喪失, MTGストーリー, プレインズウォーカー

ジェイス・ベレレンのイクサランでの記憶喪失:その経緯とヴラスカとの関係、その後の影響

多元宇宙において最も強力な精神魔法の使い手であり、ギルドパクトとしての責務を負うプレインズウォーカー、ジェイス・ベレレン。彼がイクサラン次元で経験した記憶喪失は、その後の彼の軌跡とMTG世界のストーリーに大きな影響を与えた出来事です。この記事では、ジェイスがなぜ記憶を失い、イクサランで何を経験し、それがどのように彼の未来、特に灯争大戦へと繋がっていくのかを解説します。

記憶喪失の背景とイクサランへの漂着

ジェイスが記憶を失ったのは、『破滅の刻』の出来事の後、彼がニコル・ボーラスとの対峙から逃れた直後のことです。アモンケット次元でボーラスに精神的に圧倒され、追いつめられたジェイスは、アゾールという名のナーガ族のプレインズウォーカーの助けを得ようと次元渡りを行いますが、これはボーラスの罠でした。アゾールはかつてニヴ=ミゼットの依頼でボーラスを捕らえるための魔法的装置「拘留の宝球」をイクサラン次元に隠しており、ボーラスはその知識をジェイスから引き出そうとしたのです。

ジェイスはアゾールの居場所を探して次元渡りを試みますが、ボーラスによってその精神が操作され、不完全な状態での次元渡りとなります。結果として、彼はイクサラン次元の海上に不時着し、その際に過去の記憶の大部分を失ってしまいました。この記憶喪失は、ボーラスがジェイスを弱体化させ、後の計画から一時的に排除するための策略でした。

イクサランの海岸に流れ着いたジェイスは、自身の名前すら思い出せない状態で目覚めます。彼は自身が何者かも分からぬまま、この謎に満ちた次元でのサバイバルを強いられます。

イクサランでの探求とヴラスカとの出会い

記憶を失ったジェイスは、自分が何者であるか、どこから来たのかを知るため、イクサラン次元を彷徨います。この次元は、太古の宝物「太陽の冠」を巡って、ヴァスカの太陽帝国、深根の部族(マーフォーク)、鉄面連合(海賊)、血潮の連隊(吸血鬼)といった勢力が激しく争う場所でした。

ジェイスは偶然、ゴルゴン族のプレインズウォーカー、ヴラスカと出会います。ヴラスカもまたボーラスによってある任務を与えられてイクサランに来ており、太陽の冠の探求と、それを巡る勢力争いに関与していました。記憶を失ったジェイスは、自身の警戒心を失っており、ヴラスカはその様子を見て彼を利用しようと近づきます。しかし、共にイクサランのジャングルを踏破し、危険を乗り越える中で、二人の間には予期せぬ感情が芽生えます。ジェイスはヴラスカに心を開き、彼女もまたジェイスに対して複雑な感情を抱くようになります。

記憶の回復とイクサランでの出来事の影響

イクサランでの旅の終盤、ジェイスはアゾールの隠れ家、忘れられた泉にたどり着きます。そこで彼はアゾールと対面し、拘留の宝球の存在を知ります。そして、アゾールの魔法や泉の力によって、失っていた記憶を徐々に取り戻していきます。記憶が戻るにつれて、ジェイスは自分がラヴニカのギルドパクトであること、ボーラスという強大な敵がいること、そして自分がイクサランにいるのはボーラスの策略によるものであることを思い出します。

記憶を取り戻したジェイスは、ヴラスカがボーラスの指示で動いていることを知ります。ヴラスカは太陽の冠をボーラスに献上するという任務を受けており、ジェイスとの関係はその任務遂行のための一環でもありました。しかし、ヴラスカもまた、ジェイスとの間に生まれた感情に葛藤していました。最終的に、太陽の冠はボーラスの手に渡りますが、イクサランでの出来事を通してジェイスとヴラスカの間には深い絆が生まれました。

このイクサランでの経験は、ジェイスに多大な影響を与えました。記憶を失ったことで彼は自身のアイデンティティを問い直し、権力や責任から解放された一時的な期間を過ごしました。また、ヴラスカとの関係は、彼が他のプレインズウォーカーや人々との関わり方を見つめ直すきっかけとなりました。

その後の軌跡への繋がり

イクサランから記憶を取り戻して戻ったジェイスは、ボーラスの脅威が多元宇宙全体に及んでいることを再認識し、他のプレインズウォーカーたちと協力することの重要性を痛感します。イクサランでの経験は、ギデオン・ジュラ、チャンドラ・ナラー、ニッサ・レヴェインら他のゲートウォッチのメンバーとの関係性にも影響を与え、ボーラスとの最終決戦である灯争大戦への備えに繋がっていきます。

特に、イクサランで生まれたヴラスカとの関係は、灯争大戦において予想外の展開を迎えることになります。ヴラスカはボーラスの軍勢の一員としてラヴニカに現れますが、ジェイスとの間の絆が、彼女の最終的な行動に影響を与えることになります。

ジェイスのイクサランでの記憶喪失と探求は、『イクサラン』ブロックの核となるストーリーであり、彼の個人的な成長と、その後の多元宇宙全体の命運を左右するボーラスとの戦いへと繋がる重要な出来事でした。この経験は、最も知的なプレインズウォーカーの一人であるジェイスに、理性だけではない感情や人間関係の重要性を改めて認識させる転換点となったと言えるでしょう。

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