プレインズウォーカー年代記

イクサランの秘宝探索:太陽の黄金の胴衣を巡るプレインズウォーカーたちの競争

Tags: MTGストーリー, イクサラン, プレインズウォーカー, 太陽の黄金の胴衣, ジェイス・ベレレン, ヴラスカ

イクサランの秘宝探索:太陽の黄金の胴衣を巡るプレインズウォーカーたちの競争

マジック:ザ・ギャザリングの多元宇宙には、数えきれないほどの次元と、そこに隠された強力なアーティファクトや秘密が存在します。その中でも、密林に覆われた次元イクサランは、古の強力なアーティファクト「太陽の黄金の胴衣」が隠されている場所として、複数のプレインズウォーカーの注目を集めました。この秘宝を巡る探索は、それぞれの思惑を抱えたプレインズウォーカーたちをイクサランへと引き寄せ、次元の先住民たちの争いに干渉しながら、後の多元宇宙の運命に繋がる重要な出来事となりました。

太陽の黄金の胴衣とその背景

太陽の黄金の胴衣は、古代の太陽帝国が創造したとされる極めて強力なアーティファクトです。その力は、使用者を不死にし、時間の流れから切り離すとも言われています。この胴衣は長い間、イクサランの奥深く、失われた黄金都市オラーズカに隠されていました。オラーズカは次元そのものから隔絶されており、その位置を知る者は限られていましたが、その存在と秘宝の噂は多元宇宙に広がり始めていました。

イクサラン次元には、この秘宝を巡る長年の争いが存在します。恐竜と共生し太陽帝国を復興しようとする「太陽帝国」、吸血鬼の騎士団である「薄暮の軍団」、海洋を支配するマーフォーク「トカートリの儀式」、そして自由を求める海賊たち「鉄面連合」は、それぞれ異なる理由からオラーズカの発見を目指していました。

探索者たちのイクサランへの到達

太陽の黄金の胴衣が再びプレインズウォーカーたちの標的となった背景には、老獪な龍プレインズウォーカー、ニコル・ボーラスの存在がありました。彼は自身の野望である全多元宇宙支配、特に灯争大戦へと繋がる計画のために、この秘宝の力を必要としていたのです。ボーラスは自らは動かず、複数のプレインズウォーカーをイクサランへと送り込みました。

失われた黄金都市オラーズカでの交錯

ジェイスは記憶を取り戻す手がかりを求め、ヴラスカはボーラスとの契約を果たすべく、それぞれがイクサランの奥地を目指しました。彼らはそれぞれの旅の途中で出会い、記憶を失ったジェイスと任務を遂行しようとするヴラスカの間には、複雑な関係性が芽生えます。

一方で、イクサランの先住民たちもオラーズカの発見に向けて激しい争いを繰り広げていました。太陽帝国と薄暮の軍団は特にオラーズカの領有権を主張し、大規模な衝突を繰り返しました。トカートリの儀式と鉄面連合もまた、それぞれの思惑でこの争いに加わっていきます。

秘宝探索のクライマックスは、ついに発見された黄金都市オラーズカで起こりました。ジェイスはヴラスカとの関係の中で記憶を徐々に取り戻し、自身の正体とボーラスの危険性を悟ります。ヴラスカもまた、ジェイスとの交流を通じてボーラスの真意に疑念を抱くようになります。

アジャニはボーラスの指示通りヴラスカから秘宝を強奪しようとしましたが、ジェイスとヴラスカの抵抗、そしてアジャニ自身の記憶の一部を取り戻したことによる混乱もあり、その試みは完全には成功しませんでした。

秘宝の行方と物語のその後

オラーズカでの混乱の後、太陽の黄金の胴衣はニコル・ボーラスの手に渡ることになります。この秘宝の力は、後の灯争大戦において、ボーラスがラヴニカ中のプレインズウォーカーの灯を奪うための道具として利用されました。

イクサランでの出来事は、ジェイスとヴラスカの関係に大きな変化をもたらしました。共に困難を乗り越え、互いの弱さや人間性(ゴルゴン性?)に触れた二人の間には、単なる協力関係を超えた絆が生まれました。これは、その後の灯争大戦における彼らの選択、そして多元宇宙の運命に影響を与える重要な伏線となりました。

アジャニはボーラスの精神操作から完全に解放された後、自身がボーラスの手駒として利用されたことへの怒りと悔しさを募らせ、改めてボーラス打倒への決意を固めます。

イクサランの秘宝探索は、単に一つのアーティファクトを巡る冒険に留まりませんでした。それは主要なプレインズウォーカーたちの関係性を大きく変化させ、ニコル・ボーラスの野望が着実に進行していることを示し、来るべき多元宇宙規模の危機、灯争大戦へと繋がる重要な物語のピースとなったのです。この出来事は、セット『イクサラン』および『イクサランの相克』のストーリーとして描かれました。