イコリア:巨獣の棲処の出来事:共生する巨獣とプレインズウォーカーたちの干渉
イコリア:巨獣の棲処で起きた出来事
MTGの多元宇宙に存在する次元、イコリア。この世界は、人類が「怪物の巣」と呼ばれる危険な環境で巨大なクリーチャーたちと共生あるいは対立しながら暮らしている独特の生態系を持つ次元です。2020年に発売されたセット『イコリア:巨獣の棲処』では、この次元を舞台にした出来事と、そこに干渉するプレインズウォーカーたちの物語が描かれました。本記事では、イコリアで何が起き、プレインズウォーカーたちがどのように関与したのかを、その背景とともに解説します。
イコリアの環境と社会
イコリアは、非常に巨大で多様なクリーチャー、通称「巨獣」が跋扈する危険な次元です。人類は、巨獣の脅威から身を守るために、「ケスキン」と呼ばれる要塞都市に暮らしています。しかし、一部の人々、特に「ボンドール」と呼ばれる者たちは、巨獣との間に奇妙な共生関係を築き、彼らと心を通わせ、共に生きる道を選んでいます。一方で、「ショーマン」と呼ばれる者たちは、巨獣を捕獲・調教し、見世物や戦闘に利用しています。この巨獣との関わり方を巡る価値観の対立が、イコリアの人類の社会構造や文化に深く根差しています。
ルーカとガルーダの登場
このイコリアに、二人のプレインズウォーカーが同時に干渉します。一人は、怪物を操る能力を持つプレインズウォーカー、ルーカ。彼は自身も獣のような姿に変身する能力を持ちますが、その真の目的はしばしば謎に包まれています。もう一人は、巨獣や自然を深く愛し、狩りによって傷つけられる彼らを救おうとするヴィヴィアン・リードです。
ルーカはイコリアに現れると、この次元でも特に強大で象徴的な巨獣の一つである、多頭の飛行クリーチャー「ガルーダ」に目をつけます。ルーカは自身の能力を用いてガルーダを完全に支配しようと試みます。彼のこの行動は、イコリアの繊細な生態系のバランスを崩し、ケスキンに暮らす人々やボンドール、そして何よりもガルーダ自身の存在を脅かすものでした。ルーカがガルーダを従えようとした具体的な理由は明らかではありませんでしたが、より大きな目的のためにその力を利用しようとしていた可能性が示唆されています。
ヴィヴィアン・リードの介入とルーカとの対立
ルーカによるガルーダへの干渉を察知したヴィヴィアン・リードは、これを阻止するために行動を開始します。ヴィヴィアンは故郷であるフィオーラ次元を滅ぼしたニコル・ボーラスへの復讐を誓っており、その過程で多くの巨獣の魂を自身の武器である「アークボウ」に宿らせています。彼女はイコリアの巨獣たち、特にガルーダがルーカによって支配されることを許容できませんでした。
ヴィヴィアンはルーカと接触し、ガルーダを解放するように要求します。しかし、ルーカはこれに応じず、両者は激しく対立します。この衝突には、ルーカの義理の妹であるジアーダを含むイコリアの住人も巻き込まれます。ジアーダはルーカの危険な行動を止めようと彼を追跡していました。
ルーカとヴィヴィアンの戦いは、イコリアの各地で発生し、次元全体に影響を及ぼしました。ルーカは自身の怪物を操る能力と変身能力を駆使し、ヴィヴィアンはアークボウに宿る巨獣の魂の力で応戦します。最終的に、ヴィヴィアンはガルーダをルーカの支配から解放することに成功します。ルーカは目的を達成できず、イコリアから姿を消しました。
出来事の結果と影響
イコリアでのルーカとヴィヴィアンの衝突は、次元そのものに大きな変化をもたらすような決定的な出来事ではありませんでしたが、ルーカのキャラクターと能力を深く掘り下げ、その後の彼の行動(特に『ニューカペナの街角』での活動)への伏線となりました。また、ヴィヴィアン・リードが巨獣を守るという信念を改めて示す機会となり、彼女のキャラクターアークにおける重要なエピソードの一つとなりました。
イコリアの次元そのものは、ルーカの干渉によって一時的な混乱は生じたものの、基本的な生態系や人類と巨獣の共生/対立関係は維持されました。この出来事は、『イコリア:巨獣の棲処』セットのストーリーとして描かれ、多くのカードのフレイバーテキストや公式記事、短編小説などで詳細が語られています。特に「怪物のるつぼ、ルーカ」や「巨獣の怒り、ヴィヴィアン」といったカードは、彼らのイコリアでの姿や能力を象徴しています。
イコリアでの出来事は、多元宇宙全体から見れば比較的小規模なエピソードですが、特定のプレインズウォーカーの行動原理や能力を理解する上で重要な意味を持ちます。また、イコリアというユニークな次元の生態系や文化を深く知るきっかけを提供する物語でもあります。