プレインズウォーカー年代記

緑の誓い:ニッサ・レヴェインがゼンディカーに捧げた忠誠とその軌跡

Tags: ニッサ・レヴェイン, ゼンディカー, プレインズウォーカー, ストーリー, 機械兵団の進軍, ゲートウォッチ

緑の誓い:ニッサ・レヴェインがゼンディカーに捧げた忠誠とその軌跡

ニッサ・レヴェインは、緑の法を体現するエルフのプレインズウォーカーであり、特に次元ゼンディカーの生命力「ロークスワイン」との深い繋がりを持つ存在です。彼女の物語は、故郷ゼンディカーへの献身と、エルドラージやファイレクシアといった多元宇宙の脅威との戦いを中心に展開されます。この記事では、ニッサがたどった軌跡と、彼女が世界の生命に捧げた誓いについて追っていきます。

ゼンディカーとの出会いとプレインズウォーカーの灯の発現

ニッサはもともと次元ローウィンに住むヴァストウッドのエルフでした。自身の部族が抱える病「エレメンタル化」を食い止めるため、神と呼ばれる存在「ムラガンダ」を捜索する旅に出ます。この旅の中で、彼女のプレインズウォーカーの灯が発現し、初めてゼンディカーへと次元渡りしました。

ゼンディカーでニッサは、次元そのものが持つ圧倒的な生命力であるロークスワインに深く惹かれました。しかし同時に、次元のエネルギーが不安定化し、危険な様相を呈していることに気づきます。これが、後にエルドラージの覚醒と関連しているとは、当初知る由もありませんでした。この経験はニッサに強い印象を与え、彼女のその後の行動原理の核となります。

エルドラージの脅威とゼンディカーの解放

ゼンディカーに戻ったニッサは、次元を蝕む異次元の存在、エルドラージの存在を知ります。彼女はロークスワインの癒しの力を信じ、エルドラージの解放を試みましたが、これは逆効果となり、封印されていたウラモグ、コジレック、エムラクールの三体の巨体が完全に覚醒するきっかけを作ってしまいました(『エルドラージ覚醒』)。

自身の誤りを悟ったニッサは、ゼンディカーを救うために他のプレインズウォーカーに助けを求めます。そして、ギデオン・ジュラ、ジェイス・ベレレン、チャンドラ・ナラーと共にエルドラージの脅威と戦うことになります(『戦乱のゼンディカー』ブロック)。この戦いを通じて、彼女はゼンディカーへの忠誠を誓い、「ゲートウォッチ」結成の一員となりました(『ゲートウォッチの誓い』)。ゲートウォッチとして、彼女はゼンディカーのウラモグとコジレックを打倒するのに貢献し、次元を一時的な平穏へと導きました。

ゲートウォッチとしての旅とボーラスとの対立

ゼンディカー解放後、ニッサはゲートウォッチの一員として他の次元の危機にも駆けつけます。アモンケットでは、ニコル・ボーラスの欺瞞と権力に触れ、彼が多元宇宙に与える悪影響を目の当たりにしました。特に、ボーラスの策略によって彼女が信頼していたアジャニ・ゴルガリが歪められる様を見て、ボーラスへの強い敵意を抱くようになります。

灯争大戦では、ラヴニカに集結したプレインズウォーカーの一員として、ボーラスとその不死者の軍勢と戦いました。彼女はロークスワインの力を呼び出し、次元の生命力を操作して戦況に干渉する能力を示しました。しかし、この大戦を経て、ゲートウォッチは事実上解体へと向かいます。ニッサは、組織的な行動よりも、自身の信念に基づき、直接次元の生命を助ける道を再び模索するようになります。

機械兵団の進軍:ファイレクシア化の悲劇とその結末

多元宇宙に新たな最大の脅威、新ファイレクシアが迫ると、ニッサは再び最前線に立ちます。機械兵団の進軍において、彼女は新ファイレクシアの支配者たるエリシュ・ノーンの標的とされ、捕らえられてしまいます。そして、最も恐れていた事態、ファイレクシア化を受けてしまいます。

ファイレクシア化したニッサは、緑の法を歪められた形で体現し、新ファイレクシアの尖兵として、かつての仲間たちと敵対しました。特に、彼女の愛するゼンディカーや次元の生命力を汚染しようとするファイレクシアの意思は、悲劇的な皮肉としてニッサ自身にのしかかりました。

しかし、機械兵団の進軍の終盤、カーンやタミヨウといった他のファイレクシア化されたプレインズウォーカーと共に、ジェイスの自己犠牲的な行動によってファイレクシアの支配から解放されました。精神的な傷は深く残ったものの、ニッサは再び緑のプレインズウォーカーとして立ち上がります。

結び:終わらぬ誓い

ニッサ・レヴェインの軌跡は、故郷ゼンディカーへの揺るぎない忠誠と、多元宇宙の生命を守るための戦いの歴史です。ローウィンでの出自から始まり、ゼンディカーの守護者として覚醒し、ゲートウォッチとして広範な危機に対処し、最終的にファイレクシア化という個人的な悲劇を乗り越えた彼女の物語は、自己犠牲と回復の象徴とも言えます。

ファイレクシア化の経験はニッサに深い傷を残しましたが、ゼンディカーをはじめとする次元の生命に対する彼女の誓いが失われることはありませんでした。彼女はこれからも、多元宇宙の緑の生命が脅かされる時、その土地に根を下ろし、戦い続けるでしょう。彼女の物語は、MTGのストーリーにおいて、自然の力とそれを守る者の献身がいかに重要であるかを示しています。