プレインズウォーカー年代記

ゲートウォッチの軌跡:結成から変遷、そして事実上の解体へ

Tags: ゲートウォッチ, プレインズウォーカー, ストーリー, 灯争大戦, ラヴニカ

ゲートウォッチ:次元を超えた誓いとその変遷

マジック:ザ・ギャザリングのストーリーにおいて、多元宇宙規模の脅威に対抗するため、自らの「灯」の誓いを立てて結成されたプレインズウォーカーの集団、それがゲートウォッチです。本記事では、その結成後の活動から、メンバーの変遷、そして事実上の解体に至るまでの軌跡を、関連する重要な出来事や次元とともに解説します。

結成と初期の活動:多元宇宙の危機への対応

ゲートウォッチは、ゼンディカー次元を襲った古の脅威であるエルドラージへの対抗をきっかけに結成されました。ジェイス・ベレレン、チャンドラ・ナラー、ニッサ・レヴェイン、ギデオン・ジュラはゼンディカーの危機に際し、次元の守護者として行動する誓いを立て、後にリリアナ・ヴェスも加わります。(ゲートウォッチ結成の詳細については「次元を超えた誓い:ゲートウォッチ結成とその目的」の記事を参照してください。)

結成後、彼らは多元宇宙の様々な次元で発生する危機へと赴きました。イニストラード次元では、月の監獄から解放され狂気に陥った大天使アヴァシンの鎮静、そしてエルドラージの落とし子による侵食に立ち向かいます。カラデシュ次元では、チャンドラの過去と向き合いながら、発明博覧会を巡るテゼレットの陰謀を阻止する活動を行いました。これらの活動は、ゲートウォッチが多元宇宙における主要な守護者としての役割を担うことを示しました。

アモンケットでの壊滅的な敗北とメンバーの変遷

ゲートウォッチの結束が大きく揺らぐきっかけとなったのは、ニコル・ボーラスが支配するアモンケット次元での出来事です。ボーラスの巧妙な罠により、ゲートウォッチは壊滅的な敗北を喫しました。ギデオンはボーラスに挑むも退けられ、ジェイスはボーラスの精神魔法によって記憶を失いイクサラン次元へと飛ばされてしまいます。ニッサは、ゼンディカー以外の次元を守るというゲートウォッチの誓いに疑問を感じ始め、ギデオンやチャンドラとの意見の相違から、ゲートウォッチを離脱することを決断します。リリアナは自身のデーモン契約に縛られ、ボーラスの指示に従わざるを得ない状況に置かれました。

このアモンケットでの敗北とニッサの離脱により、ゲートウォッチは当初のメンバーを欠き、その活動は以前ほど組織的ではなくなります。ギデオンとチャンドラはジェイスの捜索を試みる一方、各メンバーはそれぞれの事情や目的のために個別の道を歩むようになります。

灯争大戦:終結と事実上の解体

ラヴニカ次元を舞台にした「灯争大戦」は、ゲートウォッチの物語における最大のクライマックスであり、同時にその終結点とも言えます。ニコル・ボーラスがラヴニカを拠点に、多元宇宙中のプレインズウォーカーからその「灯」を抜き取る儀式を遂行しようとしたこの戦いには、ゲートウォッチのメンバー(ジェイス、チャンドラ、リリアナ、ギデオン、そして一時的に協力したニッサ)だけでなく、多くのプレインズウォーカーが集結しました。

この壮絶な戦いの中で、ゲートウォッチのメンバーはそれぞれ重要な役割を果たしました。リリアナは自身のデーモン契約を断ち切り、最終的にボーラスに立ち向かいます。ギデオンは、リリアナをボーラスの攻撃から庇い、自らの不死性を犠牲にして命を落としました。彼の献身は、ゲートウォッチが守ろうとしたもの、そして個々のプレインズウォーカーが抱く誓いの重さを示すものでした。

灯争大戦の終結後、ニコル・ボーラスは封印され、多元宇宙は破滅の危機から救われました。しかし、ギデオンは帰らぬ人となり、リリアナは過去の行動の清算のために一時的に姿を消し、ニッサは以前からゲートウォッチとは距離を置いていました。ジェイスやチャンドラはその後も多元宇宙の出来事に関与しますが、「ゲートウォッチ」という組織としての統一的な活動は事実上終了しました。もはや彼らを縛る共通の脅威や明確な組織構造は存在せず、各々が自身の信じる道を進むこととなったためです。

ゲートウォッチが残したもの

ゲートウォッチは、その結成から事実上の解体に至るまで、決して盤石な組織ではありませんでした。メンバー間の意見の対立や、それぞれの個人的な課題、そして強力な敵との戦いの中で多くの困難に直面しました。しかし、彼らが多元宇宙の危機に立ち向かい、他のプレインズウォーカーや次元の住人たちと協力して強大な脅威を打ち破った事実は、多元宇宙の歴史において重要な一頁を刻んでいます。

ゲートウォッチの軌跡は、プレインズウォーカーの「灯」が持つ可能性と責任、そして絆の力を示すものでした。彼らの活動とその後の個々の歩みは、その後の多元宇宙解放戦争へと繋がる物語の重要な礎石となっています。