プレインズウォーカー年代記

エルズペス・ティレル:ファイレクシアとの終わりなき戦いの軌跡

Tags: エルズペス・ティレル, ファイレクシア, プレインズウォーカー, ストーリー, 年代記

導入:宿敵ファイレクシアとエルズペスの旅

プレインズウォーカーのエルズペス・ティレルは、光輝く鎧を纏い、多くの次元で弱き者を守るために戦ってきた存在です。しかし、彼女の物語は常に、多元宇宙を蝕む暗い影、ファイレクシアとの因縁によって彩られてきました。ファイレクシアの捕虜として幼少期を過ごした経験は、彼女の魂に深い傷を残し、その後の旅路を決定づける要因となります。この記事では、エルズペス・ティレルとファイレクシアとの、時を超えた戦いの軌跡を追います。

ミラディンへの帰還と新ファイレクシアの誕生

エルズペスはかつて、故郷であるミラディン次元(現在の新ファイレクシア)でファイレクシアに囚われていました。彼女はそこから逃れプレインズウォーカーの灯に目覚めますが、心に刻まれた恐怖は消えることはありませんでした。

数十年後、彼女は再びミラディン次元へと足を踏み入れます。これは『ミラディンの傷跡』ブロック(2010-2011年)で描かれた出来事です。かつての故郷は、既にファイレクシアの侵攻によって深く侵されており、生者と機械の不気味な融合が進んでいました。エルズペスはカーン・ラノワールやコウなどのミラディン抵抗勢力と共にファイレクシアと戦いますが、その力は圧倒的で、ミラディンを完全に救うことは叶いませんでした。この次元が「新ファイレクシア」として変貌していく様を目の当たりにしたことは、エルズペスにとって大きな絶望となり、彼女は再び次元を去ることを余儀なくされます。特に、カーンがファイレクシアの油に感染した場面は、彼女の心に暗い影を落としました。

テーロスでの安息と死、そして帰還

新ファイレクシアでの敗北と絶望の後、エルズペスはテーロス次元へと逃避します。神々が存在するこの次元で、彼女は一時的に安息を見出しますが、そこでもゼナゴスという新たな脅威が現れます。『テーロス』ブロック(2013-2014年)の物語では、エルズペスはテーロスの英雄としてゼナゴスを打ち倒しますが、その代償として親友アジャニ・ゴルフィングに看取られながら命を落とします。

エルズペスの魂はテーロスの冥府へと囚われますが、『テーロス還魂記』セット(2020年)で、彼女は死の神タッサとの戦いを経て冥府から生還します。この生還は、ファイレクシアが多元宇宙全体にその影響を広げつつある時期と重なっていました。

広がるファイレクシアの脅威と再度の対峙

冥府から帰還したエルズペスが目にしたのは、かつてミラディンを蝕んだファイレクシアが、他の次元にも触手を伸ばし始めている現実でした。彼女はヴラスカやキオーラといった他のプレインズウォーカーと遭遇しつつ、ファイレクシアに関する情報を収集し、その脅威の大きさを改めて認識します。

『機械兵団の進軍』セット(2023年)で描かれた新ファイレクシアによる多元宇宙侵攻において、エルズペスは最前線で戦う存在の一人となります。彼女のファイレクシアに対する個人的な憎悪と、多元宇宙を守りたいという強い意志は、彼女を戦いへと駆り立てました。彼女はファイレクシアの母たちとの戦い、特にエリシュ・ノーンとの最終決戦において重要な役割を果たします。ファイレクシアの根源を断つための「太陽の槍」の行使は、エルズペスという存在がファイレクシアの脅威に対抗する上でいかに重要であったかを示しています。

結び:ファイレクシアの遺したものとエルズペスの今後

エルズペス・ティレルの旅は、ファイレクシアという避けられない宿敵との戦いの歴史と言えます。幼少期のトラウマ、ミラディンの崩壊、死と冥府からの帰還、そして多元宇宙を救うための決戦と、彼女の物語は常にファイレクシアによって形作られてきました。

『機械兵団の進軍』によって新ファイレクシアは終焉を迎えましたが、ファイレクシアの油が残した傷跡や、ファイレクシア化したプレインズウォーカーたちの運命など、ファイレクシアが多元宇宙に残した影響は計り知れません。エルズペス自身も、ファイレクシアとの長い戦いの中で多くのものを失い、変化してきました。彼女の今後の旅路が、過去の出来事によってどのように導かれ、ファイレクシアの遺したものとどう向き合っていくのかは、今後の物語で明らかになっていくでしょう。エルズペス・ティレルの軌跡は、プレインズウォーカー年代記において重要な一章であり続けています。