プレインズウォーカー年代記

エルドラージの覚醒:ゼンディカーを襲った古の脅威とその影響

Tags: エルドラージ, ゼンディカー, プレインズウォーカー, ストーリー, 古の存在

エルドラージの覚醒:ゼンディカーを襲った古の脅威とその影響

マジック:ザ・ギャザリングの多元宇宙において、エルドラージの存在は古くから知られていました。中でも、ゼンディカー次元は、この強大な捕食者たちの脅威に直接的に晒されることとなった舞台です。この記事では、ゼンディカー次元でエルドラージがどのように覚醒し、それが次元、そして多元宇宙全体にどのような影響を与えたのかを追います。

古の封印とエルドラージの脅威

エルドラージは、物理的な次元構造を超越し、多元宇宙そのものを貪り食うとされる古の存在です。その正体は完全に解明されているわけではありませんが、彼らが訪れた次元は生命力や魔力を吸い尽くされ、荒廃の一途をたどります。エルドラージには3体の巨大なタイタンがおり、それぞれウラモグ、コジレック、アトラクサとして知られています。

遥か昔、プレインズウォーカーのソリン・マルコフ、ウギン、そしてナヒリは、エルドラージが引き起こす多元宇宙規模の脅威を認識し、彼らを次元から完全に排除するのではなく、特定の次元に閉じ込めるという手段を選びました。その次元として選ばれたのが、次元の持つ強力なマナの流れによってエルドラージを拘束するのに適していたゼンディカーでした。彼らは協力し、ゼンディカーの地下深くにエルドラージのタイタンたちを封印しました。この封印には、「ヘドロン」と呼ばれる謎めいた石造りの構造物が重要な役割を果たしました。

ゼンディカーでの覚醒

数千年後、ゼンディカーの次元構造は不安定化し、「世界揺らし(The Roil)」と呼ばれる現象が頻繁に発生するようになります。これはエルドラージの封印が弱まっている兆候でした。そして、『エルドラージ覚醒』(Rise of the Eldrazi)ブロックの物語で、ついにエルドラージのタイタン、ウラモグとコジレックがゼンディカーで覚醒します。

この覚醒には複数の要因が絡み合っていました。探検家やトレジャーハンターがヘドロンの構造を不用意に操作したこと、次元の不安定化、そしてソリン、ウギン、ナヒリといった封印に関わったプレインズウォーカーたちの不在が影響したと考えられています。特に、次元のマナの流れに敏感なエルフのプレインズウォーカー、ニッサ・レヴェインは、エルドラージの脅威を感じ取り、彼らを次元から追放しようと試みますが、その行動がかえって封印を弱める結果を招いてしまいます。

エルドラージの覚醒後、ゼンディカー次元は瞬く間に荒廃していきます。彼らは次元の生命力やマナを吸い尽くし、周囲の景観を変容させ、クリーチャーを「加工された」無機質な存在に変えていきました。ゼンディカーの住人たちは必死に抵抗しますが、エルドラージの圧倒的な力の前になす術がありませんでした。

プレインズウォーカーたちの介入と戦い

エルドラージの覚醒は多元宇宙に大きな波紋を広げました。様々な理由でゼンディカーを訪れていた、あるいはエルドラージの脅威を知ったプレインズウォーカーたちが介入します。主要なプレインズウォーカーとしては、ジェイス・ベレレン、チャンドラ・ナラー、ギデオン・ジュラ、そしてニッサ・レヴェインがこの戦いに深く関わります。

当初、これらのプレインズウォーカーたちは個別に、あるいは小規模な協力のもとエルドラージと戦いました。しかし、エルドラージのタイタンとその末裔たちの絶望的な力に直面し、彼らは協力することの重要性を認識し始めます。特に、『戦乱のゼンディカー』(Battle for Zendikar)および『ゲートウォッチの誓い』(Oath of the Gatewatch)ブロックでは、この協力関係が物語の中心となります。ジェイス、チャンドラ、ギデオン、ニッサは、エルドラージのタイタン、ウラモグとコジレックを打ち倒すため、力を合わせます。彼らは、ゼンディカーの持つ強大なマナを利用し、戦略的にエルドラージの本体を破壊することに成功します。この共闘経験は、後に多元宇宙の脅威に対抗するための組織「ゲートウォッチ」を結成する重要なきっかけとなりました。

戦いの結果と影響

ゼンディカーでのウラモグとコジレックの撃破は、次元の存亡の危機を一時的に回避する大きな勝利でした。しかし、エルドラージの脅威が完全に去ったわけではありませんでした。3体目のタイタンであるアトラクサはゼンディカーの戦いには直接的に関わらず、その後他の次元(特にイニストラード)に移動し、新たな脅威となりました。

また、ゼンディカー次元自体もエルドラージによる深刻なダメージを受けました。次元の景観は変容し、生態系は乱され、多くの生命が失われました。復興には長い時間が必要となります。

エルドラージの覚醒とゼンディカーでの戦いは、MTGのストーリーにおいていくつかの重要な影響をもたらしました。 * ゲートウォッチの結成: 強力な共通の敵に対抗するため、プレインズウォーカーたちが組織的に協力するという新たな時代の幕開けとなりました。 * 古の存在の脅威: エルドラージのような、これまでのプレインズウォーカーや次元の枠を超えたスケールの脅威の存在を明確に示しました。 * 次元への影響: 次元そのものが、ストーリーの展開によって永続的な影響を受けることを示しました(ゼンディカーの荒廃など)。

結び

ゼンディカーにおけるエルドラージの覚醒は、MTGの現代ストーリーにおけるターニングポイントの一つです。この出来事を通じて、プレインズウォーカーたちは次元を超えた脅威に直面し、新たな絆を築き、多元宇宙の平和を守るための誓いを立てました。エルドラージのタイタン、特にアトラクサの物語はその後も続き、多元宇宙にその影を落とし続けることとなります。ゼンディカーの戦いは、プレインズウォーカー年代記において、多くの重要な出来事や人物の軌跡が交錯する、避けては通れない章と言えるでしょう。