プレインズウォーカー年代記

ダッコン・ブラックブレードの軌跡:失われた次元の剣客

Tags: ダッコン・ブラックブレード, プレインズウォーカー, ストーリー, モダンホライゾン2, ブラックブレード, サレヴォク

導入:孤独な剣客、ダッコン・ブラックブレード

マジック:ザ・ギャザリングの多元宇宙には、様々な背景を持つプレインズウォーカーが存在します。その中でも、失われた次元を渡り歩き、強力な剣「ブラックブレード」と共に孤独な旅を続ける剣客、ダッコン・ブラックブレードは、長きにわたり多くの謎に包まれた人物でした。この記事では、彼の起源からプレインズウォーカーとしての旅路、そしてその悲劇的な運命について、公式設定に基づいて解説します。

サレヴォクの悲劇と灯の覚醒

ダッコン・ブラックブレードは、かつて存在した次元サレヴォクで、奴隷の身から身を起こした剣士でした。彼の次元は、強力な魔術師であり、彼を鍛え上げた主でもあったガーキスによって支配されていました。ガーキスは、自身の野心のためにダッコンを過酷な環境で鍛え上げ、彼に魂を吸い取る力を持つ魔法の剣「ブラックブレード」を鍛造させました。

ダッコンはガーキスの命令に従い、ブラックブレードを用いて多くの生命を奪いました。しかし、その過程で彼は自身の行いに苦悩し、やがてガーキスへの反逆を決意します。激しい戦いの末、ダッコンはガーキスを打ち倒しますが、その直後、ガーキスの魔術によってサレヴォク次元そのものが崩壊するという悲劇に見舞われます。

この次元崩壊の瞬間に、ダッコンの内に秘められた灯が覚醒し、彼はプレインズウォーカーとなりました。しかし、彼は故郷サレヴォクとそこに生きていた全てを失い、孤独な次元渡りの旅に出ることになります。この出来事は、彼のその後の人生と、常にブラックブレードを手放さなかった理由に深く関わっています。

失われた次元での放浪と「ブラックブレード」

プレインズウォーカーとなったダッコンは、多くの次元、特に他の誰も訪れないような辺境や失われた次元を放浪しました。彼は自身の悲劇的な過去から逃れるかのように、あるいは何かを探し求めるかのように、孤独に戦い続けました。彼の唯一のCompanionは、彼自身が鍛え、そして彼を苦しめる存在でもある剣「ブラックブレード」でした。

ブラックブレードは使用者の生命力を吸い取ってその力を増幅させるという危険な剣であり、ダッコンは常にこの剣の呪いと共にありました。彼はこの剣の力を借りて多くの強敵と戦いましたが、それは同時に彼自身の魂を少しずつ蝕む行為でもありました。彼の旅路は、この呪われた剣との共存と、自身の内なる苦悩との戦いでもあったのです。

彼の物語は、主にIDWコミックシリーズで描かれました。そこでは、彼が様々な次元で遭遇する出来事や人物、そして彼とブラックブレードの特殊な関係性が詳細に描かれています。

灯争大戦での再登場とその後

長らくMTGのストーリーの表舞台から姿を消していたダッコン・ブラックブレードですが、ラヴニカ次元を舞台にした《灯争大戦》にて、ニコル・ボーラスによるプレインズウォーカー強奪儀式に巻き込まれた多くのプレインズウォーカーの一人としてその名が登場しました。カード《黒き剣のギデオン》のフレイバーテキストでは、彼がラヴニカで戦っていたことが示唆されています。

その後、《モダンホライゾン2》セットで新たなカードとして登場し、彼の物語に再び焦点が当てられました。このセットのフレイバーテキストやアートワークからは、彼が今なおブラックブレードと共に孤独な旅を続けていること、そして彼の悲劇的な背景が改めて強調されています。彼は変わらず寡黙で神秘的な存在として描かれており、その現在の活動や目的については多くが謎に包まれたままです。

結び:悲劇を背負う剣客の行く末

ダッコン・ブラックブレードは、自身の創造物である呪われた剣と、故郷の崩壊という悲劇を背負いながら多元宇宙を旅する特異なプレインズウォーカーです。彼の物語は、力と犠牲、そして孤独というテーマを深く掘り下げています。

サレヴォクの悲劇から始まり、失われた次元を放浪し、灯争大戦を経てモダンホライゾン2で再び姿を見せた彼の軌跡は、MTG世界の広大さと、そこに生きる個々の存在の深い物語を示しています。今後、彼がどのような形でストーリーに関わってくるのか、あるいはその孤独な旅がどこへ向かうのかは定かではありませんが、ダッコン・ブラックブレードという存在は、多元宇宙の片隅で静かに、しかし確実にその歴史の一部を紡ぎ続けているのです。