プレインズウォーカー年代記

アラーラ断片の融合:分断された五つの世界とプレインズウォーカーたちの干渉

Tags: アラーラ, コンフラックス, 次元の出来事, プレインズウォーカー, ニコル・ボーラス

アラーラ断片の起源と五つの世界

かつて一つの豊かで魔法に満ちた次元であったアラーラは、遠い昔に発生した宇宙的な災厄「大渦(Great Maelstrom)」によって五つの異なる領域へと分断されました。この分断により、各領域は特定の色のマナが極端に偏在する世界となり、それぞれが独自の生態系、文化、そして生命体を進化させていきました。

それぞれの断片は、他の断片の存在を知らず、独自の歴史を刻んでいきました。しかし、時が経つにつれて、分断された境界が再び薄れ始め、異なる断片の要素が互いの世界に流入するという現象が起こり始めます。これが、後に「融合(Conflux)」と呼ばれる大事件の前兆でした。

融合(コンフラックス)の発生と多元宇宙からの干渉

断片間の境界が完全に崩壊し、五つの世界が物理的に一つに戻り始める「融合」が起こると、各断片の生命体やマナが混沌と混じり合い、次元全体が激しい変動に見舞われました。この次元規模の出来事は、複数のプレインズウォーカーの注意を引き、彼らはそれぞれの目的を持ってアラーラへと集結します。

この出来事において中心的な役割を果たしたのは、ナヤ出身のレオニン族プレインズウォーカー、アジャニ・ゴルガリでした。彼は兄弟の仇であるジェネラル・ケルドーを追う中で、アラーラ断片の融合という現象の背後に、古の龍プレインズウォーカー、ニコル・ボーラスの思惑があることを知ります。ボーラスは、融合によって生じる膨大なエネルギーと魂を自身の力とするために、この出来事を画策していたのです。

ボーラスの指示の下、グリクシスを拠点として融合を操作していたのが、金属術師のプレインズウォーカー、テゼレットです。テゼレットはグリクシスの病的な技術とエスパーのエーテリウム知識を組み合わせ、融合を加速させるための装置を構築していました。アジャニはテゼレットと対峙し、ボーラスの真の計画を阻止しようと試みます。

また、アラーラ次元のバント出身であるプレインズウォーカー、エルズペス・ティレルも、故郷を襲った融合の混乱に直面しました。彼女はバントの騎士道精神に基づき、故郷の人々を守るために戦いました。

ボーラスの忠実な僕であった龍人間プレインズウォーカー、サルカン・ヴォルもこの融合に関与し、アジャニの前に立ちはだかりました。

融合の結果とその後の影響

アジャニは融合の中心、すなわちかつての大渦があった場所でニコル・ボーラスと対峙しました。激しい戦いの末、アジャニはボーラスの脆弱性を見抜き、彼の存在の一部を弱体化させることに成功します。これによりボーラスはアラーラからの撤退を余儀なくされましたが、融合自体は止めることができませんでした。

アラーラは五つの断片が物理的に結合した、混沌としつつも新たな次元として再構成されました。異なる断片の環境や生命体が混じり合い、予期せぬ変異や衝突が頻発する世界となりました。

この出来事は、関与したプレインズウォーカーたちのその後の軌跡に大きな影響を与えました。アジャニはボーラスの脅威を認識し、彼を追う旅を続けます。テゼレットはボーラスの計画の一部を担った後、彼自身の野心とボーラスへの複雑な関係を深めていきます。エルズペスは故郷が変容したことを目の当たりにし、多元宇宙における自身の居場所を問い直すことになります。そして、サルカン・ヴォルはボーラスへの忠誠を深めつつも、内なる葛藤を抱えることになります。

アラーラ断片の融合は、単なる次元の地理的変化に留まらず、多元宇宙におけるニコル・ボーラスの脅威を多くのプレインズウォーカーに知らしめ、その後の長期にわたるストーリーライン、特に灯争大戦へと繋がる一連の出来事の重要な起点の一つとなったのです。この出来事の詳細は、マジック:ザ・ギャザリングの「アラーラの断片」「コンフラックス」「アラーラ再誕」といったセットで描かれています。