プレインズウォーカー年代記

アモンケットの破滅:ニコル・ボーラスによる欺瞞とその結末

Tags: ニコル・ボーラス, アモンケット, 破滅の刻, エターナルズ, MTGストーリー

偽りの楽園アモンケットと「破滅の刻」の到来

アモンケット次元は、かつて偉大な龍、ニコル・ボーラスによって支配され、その意志に従う偽りの楽園として再構築されました。住民は「五柱の神々」と呼ばれる存在を崇拝し、厳しい試練を乗り越えることで、より良い来世「理想郷(アフ)」へ至ると信じ込まされていました。しかし、この次元の真の目的は、ボーラスが多元宇宙を征服するための不死身の軍団「エターナルズ」を製造する工場と、その製造に必要な特殊な魔力を貯蔵する装置として機能することでした。

長きにわたり巧妙に隠されていたこの欺瞞が白日の下に晒されたのは、次元の暦で定められた「破滅の刻」が訪れた時でした。この出来事は、アモンケット次元におけるニコル・ボーラスの計画の集大成であり、後の多元宇宙全体を巻き込む「灯争大戦」へと繋がる重要な転換点となります。

ボーラスの帰還と真実の露呈

破滅の刻は、アモンケット次元の上空に双子の太陽が並び立つ異象と共に始まりました。この時、アモンケットの地には、長い間姿を現していなかったニコル・ボーラス自身が帰還しました。彼の到来は、次元に隠されていた真実を次々と露呈させました。

まず、住民が崇拝していた五柱の神々(オケチラ、ケフネト、ボントゥ、ハゾレト、ロナス)は、ボーラスによって変質させられた存在であり、彼らが課していた試練もまた、戦士を選別し、死者をエターナルズとして再利用するための偽りの儀式に過ぎなかったのです。そして、次元を囲む障壁は、ボーラスの力によって破られ、そこから大量のエターナルズ軍団が溢れ出してきました。

このエターナルズは、かつてオケチラの神官であったサルカン・ヴォルが、時のらせん時代のネファリア次元の技術を用いて死体を改造することで生み出された、不死の軍団です。彼らは青い霊液「エターナル・ブラッド」に満たされており、神々や人間を含むアモンケットの全ての生物が、ボーラスの目的のために利用されました。

プレインズウォーカーたちの介入

このアモンケットの異変を察知し、あるいはボーラスを追って次元に訪れた複数のプレインズウォーカーたちが、破滅の刻に巻き込まれました。

プレインズウォーカーたちはエターナルズ軍やボーラス自身と戦いますが、ボーラスの圧倒的な力の前に成す術がありませんでした。ギデオンとチャンドラはリリアナと共に辛くも次元を脱出しますが、ジェイスは次元を覆う混乱の中で行方不明となり、ニッサは自らの次元渡りの能力が阻害されるほど衰弱し、アモンケットに取り残されてしまいます(後にサルカン・ヴォルによって救出)。サムトは故郷の壊滅を見届けざるを得ませんでした。

破滅の刻の結果と多元宇宙への影響

破滅の刻は、アモンケット次元に壊滅的な被害をもたらしました。都市は破壊され、住民の多くはエターナルズと化し、信じられていた五柱の神々もまた、ボーラスやエターナルズによって倒されるか、あるいは変質してしまいました。

この出来事の最も重要な結果は、ニコル・ボーラスが強力で統率された不死の軍団「エターナルズ」を手に入れたことです。この軍団は、後の「灯争大戦」において、ラヴニカ次元を襲撃し、プレインズウォーカーたちの灯を奪うための主要な戦力となりました。

アモンケットの破滅は、ゲートウォッチのメンバーにも大きな影響を与えました。ジェイスの行方不明、ニッサの精神的な傷、そしてボーラスの力の前に無力であったという事実は、彼らの自信を揺るがし、組織としてのゲートウォッチに亀裂を生じさせる要因の一つとなりました。特にニッサは、ゼンディカー以外の次元を守るというゲートウォッチの誓いに疑問を抱き始めます。

アモンケットの破滅は、ニコル・ボーラスが自身の野望達成に向けて着実に歩を進めていることを多元宇宙に知らしめた出来事であり、その後の壮大な物語の幕開けとなりました。

この出来事は、MTGのセット『アモンケット』と『破滅の刻』で描かれ、公式記事や小説でその詳細が語られています。特に、破滅の刻のキーカードである《破滅の刻、ニコル・ボーラス》や、エターナルズ、そして変わり果てた神々のカードは、この悲劇的な出来事を象徴しています。